プロジェクト

PROJECT

アート×国際協力で社会課題について考える

2021.03.23

「VANART(バナート)」で、解体される原宿のマンションとともに社会課題を破壊

国際協力サロンでは、より多くの人に社会課題について考えるキッカケを持ってほしいなと思い、新しいプロジェクトを実施しました。

新プロジェクト「VANART(Vanish+Art)」では、原宿 竹下通りから徒歩5秒に位置する2019年10月解体予定のマンションに「消えるアート」を描き、マンションとともにその絵を破壊しました。

プロのアーティストを国内と海外から招待し、ただ単に社会課題を訴えるだけでなく、アートとしても素晴らしい作品になることを目指しました。

今回のアートのテーマは「破壊と再構築」

私たちの生活は便利で快適になったものの、裏ではそのしわ寄せを受けていることがあります。

プラスチックゴミによる海洋汚染や、古い習慣の中での生きづらさ。

こうした、令和の時代に持ち越したくない現代の負の遺産をテーマにしたアートをマンションの壁に描き、その絵ごと一緒にマンションを解体しました。プロジェクトの様子を以下の動画にまとめておりますので、ぜひご覧ください!

 

なぜこのプロジェクトをやろうと思ったのか?

社会課題って、なんだか重いですよね。

環境問題、貧困、人種差別、ジェンダー問題・・・

「何が問題なのか?」「何が原因なのか?」

それを知ることは大切です。でも、そうしたことは最初はよく分からなくても良いと思うんです。

「アートが見たい!」「なんだか楽しそう!」

そういうキッカケでも良いと思います。

今回の「VANART原宿」では、環境問題をテーマに世界的に有名なメキシコ人アーティスト「アルフレド・エンリコ(愛称ポゴ)」、自己肯定感をテーマに新潟県を拠点に活動する日本人アーティスト「なかしまなぎさ」をご招待し、ライブペインティングを行いました。

自己肯定感

内閣府の調査によれば、先進国の中でも日本の若者は男女ともに自己肯定感が低いという結果が出ています(内閣府 2014)。自分自身に満足していると答えた若者は5割以下。日本以外の調査対象国では、自己肯定感を高める要素として「長所」「挑戦心」「主張性」などがあげられる一方、日本では「人の役に立つこと」「人から感謝されること」「人から認められること」といった、「他人からの評価」が中心になっています。

他人からの評価という、外部要因から得る自己肯定感は脆いです。他人からの評価に関係なく、「自分」という人間を模索しながら、自己を肯定して良い。もっと好きになって良い。自分を大切にしてほしい。そんな気づきになるアートを、「VANART原宿」1日目(2019年8月24日)に日本人アーティストなかじまなぎさが描きました。

社会が自分に求めるものをいったんすべて忘れて、自分を知ることから始めていこう!そして、自分の人生の選択肢にオーナーシップをもつこと。そんなメッセージが込められています。

なかしまなぎさの過去作品

環境問題・プラスチック

日本は昔からプラスチックの分別に力を入れたり、ポイ捨てをする人が少ないことで知られていますが、実際は、アメリカにつぎ2番目にパッケージ用のプラスチック使用量が多い国です(UNEP 2018)。また日本近海には、世界平均の27倍のマイクロプラスチックが漂っているとの報告もあります(Isobe et al. 2015)。

Isobe(et al. 2015)より引用

「プラスチックを使わない」という意識は、ヨーロッパなどの国々に比べるとまだ低く、コンビニなどでも一度しか使用しないゴミ袋の使用、そしてペットボトルも多く使用されています。

そこで「VANART原宿」2日目(2019年9月29日)は、プラスチックの使用について改めて考えるきっかけとなるアートを、メキシコ人アーティストPogoに描いてもらいました。

Pogoの手によってマンションに描かれた作品

本企画は、日本発のサブミッションチャンネル「tone」を運営するなど、アーティストやクリエイターが世界で活躍するための架け橋を創るカルチャーエージェントカンパニー「グリッジ株式会社」様と、日本橋でレンタルアートスペースego Art & Entertainment Galleryを運営する「株式会社ベモーレ」様ご協力のもと、東証一部上場企業である「サンフロンティア不動産株式会社」が保有するマンションを使用させていただくことで実現しています。

アーティストプロフィール

アルフレド・エンリコ (ポゴ/Pogo)

1982年メキシコ生まれ。非現実的な絵を特徴としたペインター。最近では彫刻、デザイン、テキスタイル、版画や音楽など幅広い分野に手を伸ばしている。

メキシコのIntercontinental大学にてグラフィックデザインを学んだ後、デザイン分野での仕事を始める。

ダークでありながらもカラフルな絵は神秘的、また畏怖なものからインスピレーションを受け描かれており、死、宇宙、輪廻、魂の存在やこの世の相対的なものに対する答えを求めている。作品には星や天体、骨、花、そして女性の体が多く登場し重要な要素を担う。

アーティストSmitheとともにCopete Coheteというグラフィックスタジオを経営しており、またMercadoramaという版画ポスターを作るアーティスト集団とコラボしている。

最近ではTame Impala, Queens of the stone age, Ariel Pink, Unknown Mortal Orchestra, The Killers, Goldenvoice, Nike, Vans, Pepsi, Ray-Banなどといったビッグネームにも作品の提供をしてきた。

これまでにアメリカや日本、さらにはスペインやシンガポールといった世界各地で作品の展示会などが行われている。

なかしまなぎさ

主に新潟、東京で絵の展示やイベントに出展して活動。
引き込まれるような青と、目から訴えるような感情の表現を目指しています。

【これまでの実績】
展示・イベント
・2014年9月 『EHARA JAPAN EXHIBITION vol.1』 @solero
・2016年4月 『かいしんのいちげき展』 @ヴィレッジヴァンガード一部店舗内にて巡回展示
・2016年11月 『デザインフェスタ44』 @東京ビッグサイト
・2016年10月 『ハートフル展』 @長岡ベース
・2017年2月 『サンキュー!ベース展』 @長岡ベース
・2017年11月『デザインフェスタ46』 @東京ビッグサイト
・2018年8月『ハートフル2』@高円寺FAITH
・2019年5月『デザインフェスタ49』 @東京ビッグサイト
・2019年5月個展『under cider』 @DESIGN FESTA GALLERY
掲載
・CUTIN 3月号掲載

VANARTの未来

今回は原宿 竹下通りにある廃ビルを使用させていただきましたが、今後もアートを使いながら、環境問題や自己肯定感に限らず、さまざまなソーシャルイシューを多くの人に知っていただく企画を仕掛けていく予定です。そして日本国内だけでなく、世界に向けても発信していくことを目指します。

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