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草の根・人間の安全保障無償資金協力事業外部委嘱員の仕事内容についてー在フィジー日本国大使館・荒山和也さん

2021.11.17

みなさんこんにちは!国際協力サロンの渡邉です。
今回はサロンメンバーの荒山さんを講師に、「草の根・人間の安全保障無償資金協力事業」についてお話いただいた勉強会の様子をお届けします。

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荒山和也(あらやま かずや)さん
1989年生まれ・静岡県出身。製造・技術系アウトソーシングサービス企業で労務管理として3年弱勤務。退職した後にJICA海外協力隊へ参加。インドにて養蚕農家の収入向上及び生活改善活動に従事。2019年4月から在フィジー日本国大使館の「草の根・人間の安全保障無償資金協力事業外部委嘱員」として同事業の案件形成や事業管理等に取り組んでいる。

草の根・人間の安全保障無償資金協力事業とは?

● 基礎生活(Basic Human Needs)分野及び人間の安全保障という観点から重要な分野において、開発途上国における経済社会開発を目的とした、地域住民に直接裨益する、比較的小規模な事業のために必要な資金を供与するもの(供与限度額は原則1,000万円以下)

● 開発途上国の人々に直接裨益するきめの細かい援助であり、機     動的な対応が可能な「足の速い援助」
*引用:外務省より

草の根・人間の安全保障無償資金協力事業(Grant Assistance for Grass-Roots Human Security Projects)とは、有償資金協力・無償資金協力・技術協力から成る2国間援助の中でも、無償資金協力事業のうちの一つであり、”GGP”または”草の根無償”と呼ばれています。
**ODA:政府開発援助(Official Development Assistance)

ポイントは”地域住民に直接裨益する”ということ。供与限度額は原則1,000万円以下とされる比較的小規模なプロジェクトを発足でき、川下からのニーズを汲み取った援助を実施できることが特徴です。

🇫🇯フィジーにおけるGGP

フィジーでは1990年より「草の根無償」が開始され、2020年までの30年間でのプロジェクト総数は400件以上に上ります。草の根無償による贈与金額の合計は日本円で約30億円にまで上り、多数のプロジェクトが実施されています。

それぞれの国や地域のニーズ、抱える課題によってプロジェクトの対象となるセクターは多岐にわたりますが、一貫して教育分野、次いで環境/保健・給水分野での需要が多く、フィジーにおいても全体のうち教育分野が56%、環境/保健分野23%,、給水分野 8% と多数を占めています。(その他13%)

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引用:在フィジー日本大使館HPより

草の根無償被供与団体からは、直接感謝の声が寄せられることも珍しくありません。このような援助スキームは他国ではあまり見られず、日本独特の資金繰りとも言えるでしょう。

事例紹介vol.1:
ホームズ・オブ・ホープ・トレーニング・センター改良計画

贈与金額:87,077USD
供与品目:調理・製パン室の改築費、オーブン、パン生地ミキサー、ミシン、アイロン等

性被害を受けた女性のケア、社会復帰をサポートする団体が運営する職業訓練所に対する支援。

使用年数を重ね、古くなり、また故障してしまった職業訓練用の機材を供与したことで、調理されたパンや、制作された手芸品の品質も更に高まったとともに、効率よくトレーニングを実施することができるようになりました。

事例紹介 vol.2:給水分野
ヴイヤカナ村及びカビカ居住地給水施設整備計画

贈与金額:53,353USD
供与品目:給水ポンプ・貯水タンク・給水管整備費用・ワークショップの実施

田舎の村の給水施設を整備するプロジェクト。貯水タンク2基に加え、ソーラータイプの給水ポンプ、井戸を配備しました。

以前は村の近くに流れていた川の水を飲み大腸菌に感染、病気になってしまうケースも少なくありませんでしたが、子ども達が自由に使える飲用可能な公共の水源を設置したことで、これまでのような報告が上がることもなくなりました。

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「ヴイヤカナ村及びカビカ居住地給水施設整備計画」のように村に対して支援を実施する際、本来であれば村のコミュニティが被供与団体となりますが、供与される約600万円もの大金を果たして確実に管理し、プロジェクトを遂行できるのか、懸念が残ることも事実。

その際には、水分野に精通している現地のNGOを探し、彼らに対して資金を提供、ひいてはプロジェクトの責務を担ってもらうことで、プロジェクト実施のリスクを回避できるよう調整されています。村やコミュニティを支援する案件に対しては現地NGO等に仲介に入ってもらうことも少なくありません。

さらに、例えば水分野・保健分野などのプロジェクトを実施する場合、専門性をもった現地NGOの仲介を経て、国やその地域にあるリソースを活用しながら供与品を使用してもらうことにより、少しでも長期持続的に裨益効果が生まれることも期待されています。

おわりに

貴重な機会にと、勉強会に参加したメンバーからも
・プロジェクト採択や、NGO選定のポイントは?
・プロジェクトを発掘することもある?
・実績は少ないが想いの明確なNGOの採択は?
など、たくさんの質問が飛び交いました。

今回は勉強会のほんの一部のレポートとなりますが、サロン内部の勉強会は都度録画され、slack上で共有されています。気になる質問を荒山さんへ届けに、ぜひ中を覗きにいらしてみてくださいね。

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