プロジェクト

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フィリピンの貧困地区で暮らす人々をファッションで支援するー西側愛弓さん

2021.10.17

こんにちは!国際協力サロンの渡邉です!今回はNPO法人DEAR ME 代表理事/株式会社coxco の代表を務める西側さんをお招きし、ファッションと社会課題についてお話いただいた勉強会の様子をお届けします。

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西側愛弓(にしがわ あゆみ)さん
1995年生まれ、神戸市出身。NPO法人DEAR ME 代表理事/株式会社coxco 代表。20歳の時にフィリピンの貧困地区で暮らす人々をファッションで支援する活動「DEAR ME」を立ち上げる。新卒でサイバーエージェントに入社し、営業に従事。約2年弱働いた後に退職、「DEAR ME」をNPO法人化し代表理事に就任。2020年に「服のかたちをしたメディア」をコンセプトにしたブランド「coxco(ココ)」を立ち上げる。フィリピン・マニラに無償でファッションを学べるスクール「coxco Lab」を開校予定。

HPhttps://coxco-official.com
twitterhttps://twitter.com/ayupooonn
instagram西側愛弓さん  DEAR ME  coxco Lab/ココラボ 
notehttps://note.com/coxco_official

ブランドビジネスとNPO、双方の立場からファッション産業の社会課題に向き合う西側さん。ファッションに関心を抱くきっかけとなった出来事から今後の展望まで幅広くお話を伺いました。

きっかけは、当時のディープな一人旅

社会課題に関心を抱くようになった最初のきっかけは、大学時代に世界各国を巡った「旅」でした。大学1年生のころに初めての一人旅でアメリカ・ニューヨークを訪れ、当時からファッションが大好きだった西側さんはデジカメでストリートファッションを撮影、雑誌を作る活動に取り組んでいました。

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活動はニューヨークだけにとどまらず、カメラを片手にモロッコ、ボリビア、スリランカ..と、気づけば15カ国あまりの国へ渡航。学生だった当時は十分な資金もなく、安いホテルや、時には危険がひそむエリアにも訪れるディープな一人旅を繰り返し、色んな人や景色と出会ったのと同時に、貧困問題など各国が抱える様々な社会問題を数多く肌で感じることとなったのでした。

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ディープな一人旅から貧困問題や社会問題に関心を抱き始め、帰国後の大学2年時にファッションを通して社会課題に立ち向かう、”DEAR ME”という団体を設立。大学3年時には同団体にて、フィリピンのスラムで暮らす子どもをモデルにしたファッションショーを開催しました。

「世界中の子どもたちが平等に夢を描き、
夢のために努力できる環境を創る!」
〜NPO法人DEAR ME〜

ファッションを切り口に社会課題に向き合う組織、”DEAR ME”。
人が生きていく上で”衣・食・住”の3本軸が欠かせない中、特に食・住、そして教育の面からサポートするNPO法人や活動団体は比較的数多く存在する一方、途上国の”衣・ファッション”の面にアプローチする団体はなかなか存在していなかったことから、立ち上げを決意しました。

「日々を生きていく」という観点からは、ファッションという側面は重要視されることが少ない一方、未来を胸を張って生きるために、そして未来への希望を抱くためには、決して無視してはならない存在であるのがファッション。

どんな環境で暮らす子どもであっても、人生の主人公は自分自身であることを体感して欲しい、未来に向けてお友達と手をとりあって夢を抱いて欲しいという願いを込めて、パヤタス地区で暮らす子どもたちがモデルになるファッションショーを開催してきました。

2015年から計7回開催されたファッションショーを通して、十人十色たくさんの夢を描き、きらきらと目を輝かせランウェイを歩く子どもたち。

しかしそこには、ショーが終わってしまえばパヤタスのスラムへ戻っていかなければならない現状がありました。

夢に向かって努力できる環境がない子どもたちを前に、夢を叶えることができない子どもたちは夢自体を持つことすらいけないのか。そんな子どもたちにファッションショーを通して夢を持たせることは良くないのではないか。自分自身でたくさん考えたことでもあり、また周りの方々からもたくさんの意見が寄せられました。

でも、やはり、同じ地球上に生きているのに、
夢を持っていい人、いけない人が存在するのはおかしい。

「夢のために頑張れる環境がなかったらみんなで創ったらいいやん!」

そう決意は固まり、2年間勤めた会社を退職。大学2年時に立ち上げたDEAR MEをNPO登記へ、また2022年の現地ファッションスクール設立に向けて本格的な活動をスタートしました。

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「服のかたちをした、社会と向き合うメディア」
アパレルブランド ”coxco”

2022年設立予定のファッションスクール。そこでは服飾デザインなど学びの環境を創ることを考えています。そして、教育提供のみならず、自身で雇用も生み出したいとの想いからNPO法人設立の傍ら、自身のアパレルブランド”coxco”を設立しました。

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ブランドを立ち上げるにあたり、ある1本の映画が深くブランド立ち上げへの思いに影響することとなりました。

”ザ・トゥルー・コスト”
みなさんはご覧になったことあるでしょうか。アパレル産業が抱える環境問題、労働問題についてのリアルが描かれています。

学生の頃には世界を旅して、ファッション雑誌を制作して、気づけば自分の人生を前に前に押し進めてくれていた大好きなファッション。しかし、ファッション産業がこんなにも環境に負荷を与えていたこと、途上国の人々が劣悪な労働環境の中で働かされていたことを知り、映画を見終えた時には本当に涙が止まらなくなりました。

無知だった自分にも憤りを感じたとともに、「みんなでどうにかしなきゃいけない。」と、振り返ればこの時から、ファッション産業が抱く課題が自身の中で無視できない現実に。

そうして「ファッションで社会課題を解決する」を理念のもと2019年12月創業、2020年5月に社会課題に向き合い、”サステナブル”をテーマにしたブランドを開始したのでした。

「服のかたちをしたメディア」をコンセプトに、
これまで、年間100万トンの衣料が廃棄される廃棄衣料問題、年間500万トン/約150億着分の残布が廃棄される残布問題、また海洋汚染などにより年々収穫量が減少している真珠の養殖被害をテーマとした、3シリーズの商品を展開。

単に服を作って販売するだけでなく、服を媒体として様々な社会問題をメッセージに、消費者へと届けています。

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社会的なことをテーマにして、商品ストーリーを大切にすることはもちろんながら、ファッションとしても、おもしろい!かわいい!と思ってもらえるようなクリエイティブに富んだ商品作りも怠らない。

著名人によるブランド服着用、また多数のメディア掲載実績も積み重ねながら、アパレルcoxcoに魅了される人々は続々と増え続けています。

今後、これらの服の売り上げの10%を、これから設立予定のファッションスクール(coxco Lab/ココラボ)へ充てていくことも構想中 。

アパレルブランドcoxcoとNPO法人DEAR MEのファッションスクール”coxco Lab”を将来的に連携をさせながら、ファッション産業の課題に向き合うべく、これからも西側さんの挑戦はまだまだ続きます!

おわりに

「coxco Labで育成した生徒を将来coxcoで雇用する。ファッションを通して、貧困問題・教育格差問題を解決する」

これまで出会った周りの人を日々大切にしながら、フィリピンだけにとどまらない、世界を視野に入れて挑戦し続ける、西側さんの誠実なお人柄が伝わってきた、素敵な勉強会となりました。

これからもポップアップなど開催される色んなイベント情報をキャッチしに、ぜひSNSもフォローしてみてください🌼

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